鉄道唱歌 東海道編の歌詞(藤枝、島田、大井川など)の観光・歴史について、鉄道に詳しくない方にもわかりやすく解説してゆきます!
↓まずは原文から!
すぎて島田の大井川
むかしは人を肩にのせ
わたりし話も夢のあと
さらに読みやすく!
すぎて島田の 大井川
むかしは人を 肩にのせ
わたりし話も 夢のあと
さあ、歌ってみよう!
♪すーぎてしまだの おおいがわー
♪むかしはひーとを かたにのせー
♪わたりしはなしも ゆめのあとー
沼津駅→富士駅→富士川駅→興津駅→清水駅→静岡駅→安倍川駅→焼津駅→藤枝駅→島田駅→掛川駅→袋井駅→磐田駅(旧・中泉駅)→天竜川駅→浜松駅
※鉄道唱歌に関連する主要駅のみ抜粋
焼津駅を出て西へ進み、藤枝駅へ
焼津駅を出てしばらく行くと、藤枝駅(ふじえだえき、静岡県藤枝市)に到着します。

藤枝駅(静岡県藤枝市)
藤枝駅の前にはドトールコーヒーがあり、旅の休憩にはもってこいです。
青春18きっぷの場合は、これから旅の先まだまだ長です。
そのため、長時間の乗車でこの辺りで中だるみした場合は、無理せず藤枝駅で降りて休憩していきましょう。
青春18きっぷユーザーの強い味方・快活CLUB島田店
藤枝駅を出ると、青春18きっぷユーザーの強い味方である「快活CLUB島田店」のある六合駅(ろくごうえき、静岡県島田市)に着きます。
破格の安さ・18きっぷユーザーには助かる
快活CLUB島田店は、完全鍵付個室で夜間8時間パックで1,850円という破格の安さで、青春18きっぷとの相性は抜群です。
しかも、六合駅のすぐ目の前にあります。
とはいえ、夜は駅周辺はやや暗いため、夜遅くに六合駅に着いた場合は気を付けて行きましょう)。
ただし、時間には注意
なお、8時間パックは夜11時~翌朝7時という使い方をすると、夜11時までの時間をどうするか、という問題が起きます。
そのため、もし早く快活CLUBに着いた場合には、
- 「飲み放題カフェ」で漫画を読んだり、
- スマホをいじったり
などして、時間を潰すという方法もあります。
「飲み放題カフェ」なら多少料金が安くなりますし、ソフトドリンク飲み放題はもちろんソフトクリームも食べ放題となります。
完全鍵付個室は、会員の方は3日前から予約ができるため、Web予約を大いに活用しましょう。
快活CLUBは、静岡駅前にもあります。
ただし島田店の方が若干安くなりますし、駅のすぐ目の前なので超便利です。
狭軌の最高速度175km/hを記録した、六合駅
また、六合駅付近はクモヤ93000という車両が狭軌(きょうき)の最高時速175キロを1960年に達成した場所でもあります。
六合駅前には、その記念碑が置かれています。
かつての東海道の宿場町・島田に到着
六合駅を過ぎると、次は島田駅(しまだえき、静岡県島田市)に到着します。

島田駅(静岡県島田市)
静岡県島田市(しまだし)は、かつて東海道の宿場町である島田宿(しまだしゅく)で栄えた街でした。
島田からさらに西へ行くには、大井川(おおいがわ)という大きな川を越えなければなりませんでした。
大井川が氾濫したとき、島田宿で何日も「足止め」となった
しかし、昔は大井川が氾濫してしばしば通行止めとなっていたのでした。
そのため、その足止めを食らった人達が川の通行再開まで何日も泊まって過ごした場所でもあります。
現在では、鉄道で大井川に立派な橋がかかっているため、そこまで「昔の大変さ」を意識することはないかもしれません。
昔は大井川には橋がかかっていなかったため、人を肩に乗せて渡っていた

大井川橋りょう(きょうりょう)にさしかかる(静岡県)

大井川(静岡県)
昔は江戸幕府によって大井川に橋をかけることが許されなかったため、歌詞にある通り、肩に人を乗せて渡っていたのでした。
金がある人や、大名などの偉い人達は、神輿(みこし)のようなもので担がれて渡っていたのかもしれません。
しかし、逆にお金のない人は、自力で川を渡るしかないという、危険な方法を選択しするしかなかったのでしょう。
なぜ昔の大井川には、橋がかかっていなかったのか?

大井川(静岡県。写真右側が島田市)
なぜ大井川に橋がかけられなかったのかについては様々な説があります。
一 軍事上の理由
まず、最も有力な説として言われているのは「軍事上の理由」です。
1600年の関ヶ原の戦いで敗れた大名(=徳川家に敵対した大名)は、江戸時代になって(半ば嫌がらせ的に)遠い場所に飛ばされています(外様大名)。
「江戸に攻めてこさせないため」の対策
そのため、徳川家に恨みを持っているかもしれない各大名が謀反を起こしてくる可能性に幕府は常に恐れているような状態でした。
そんな「幕府に反乱してくる軍」が、川を越えて江戸幕府に攻めてこないよう、
といった理由が考えられます。
二 宿場町の利益に配慮していたから
橋がかからなかったもう一つの理由として、川の両端の宿場町への配慮が考えられます。
大井川の両端には、先ほど述べたように東海道五十三次の宿場町だった、
- 「島田宿(しまだしゅく)」
- 「金谷宿(かなやしゅく)」
がありました。金山宿は、島田側からみて大井川を渡ったところにある宿場町です。
大雨で氾濫すると、何日間も宿場町に滞在することに
これら両宿は、大雨で大井川が氾濫して通行止めになり、足止めを食らった旅人たちが暇を潰すために多いに賑わいました。
通行止めのときは、何日も宿場町に滞在することになります。
宿場には飯盛女(めしもりおんな)という旅人をもてなす女性もいましたから、男女混じって「飲めや歌えや踊れや」という感じで、大いにドンチャン騒ぎをしたことでしょう(あくまで私の想像です。 楽しそうな皆の姿が思い浮かびます)。
しかしこれにより、旅費だったはずの所持金も遊びと宿泊費に使い果たしてしまい、その後の旅に影響が出たともされています。

島田宿側からの大井川。向こう側は金谷宿。(静岡県)
橋をかけると、宿場町の利益に影響が出ることが懸念された(?)
つまり、逆に言えば橋をかけてしまうと、通行止めによる旅人客が減ってしまうことにつながります。
そのため、これら宿場町の利益に影響が出てしまうために、宿場町に配慮して敢えて橋をかけなかった、という説もあります。
三 どうせ橋をかけても、氾濫したときに流されるから
これは「昔の橋がかけられなかった理由あるある」なんですが、洪水が起きたときにどうせ流されてしまうから、最初から橋がかけられなかったという理由です。
昔の橋は、かけてもすぐに流されていた
昔の橋は現在と違って、ひとたび大雨・洪水が起きると、すぐに流されてしまっていました。
なので、どうせ流されるくらいなら、最初から橋をかけないというケースが多かったのです。
最初から橋をかけずに、「舟」などで対応していた
橋をかけないかわりに、渡し舟(わたしぶね)という舟で対応してきたのです。多摩川の「六郷の渡し(ろくごうのわたし)」のように、各地に「~の渡し」と呼ばれる場所があるのは、その名残です。
大井川もとても水量の多かった川なので、昔から氾濫に苦しめられてきた地域だったことは、容易に想像できます。
箱根の山は馬でも越せる。しかし大井川は馬では越えられない
「越すに越されぬ大井川」

荒天時の大井川(静岡県島田市)
かつて大井川は、
越すに越されぬ大井川
といわれていました。

「越すに越されぬ大井川」中央の絵には、みこしに担がれて川を渡っている様子が描かれている(静岡県島田市)
確かに、箱根の山は坂がとにかくきつい東海道きっての難所でしたが、あくまで陸路のため、馬でも一応進むことは出来ます。
しかし、大井川は水のため、馬で越すことはできません。
馬が越すことはできないため、
という話も伺っています。
大井川にかかわる、リニア建設工事の是非をめぐる問題
また、大井川はリニア工事が進まないことの要因として、近年のしばしばニュースで取り沙汰されます。
静岡県を一瞬だけ通る、リニア中央新幹線
リニア中央新幹線は、東京から山梨県・長野県・愛知県(名古屋)をほぼ一直線で結ぶルートが建設される予定です。もちろん、大半はトンネルとなります。
しかし、静岡県(葵区)は、右上に細く突き出た領域があります。
リニア新幹線は、静岡県のこのわずかな領域を一瞬だけ通過することになります。
静岡県からすれば、この領域をわずかにかすってしまうリニア新幹線を嫌みのように受け取れたのかもしれません。
もちろん、この領域は山岳地帯になるので、ここに静岡県の駅ができるはずもありません。
静岡県は、未だにリニア建設の許可を出しておらず
新幹線は、通過する全ての都道府県の許可が出ないと、建設することが出来ません(※)。
静岡県は許可を出していませんので、令和7年現在も、未だに工事が進んでいないという状況です。
※厳密には、
- 鉄道事業法によれば、新幹線の工事は国土交通大臣の許可があれば可能
- 河川法によれば、一級河川である大井川の河川管理者は国土交通大臣
ただし、ニュース等の報道では大井川の河川管理・工事許可の権限は静岡県側にあるとされているようです。
これ以上の事は正直私もあまりよくわからない(というか、私が考えても仕方がない領域になる)ので、あまり深追いはしないようにします。
こうしたことから、リニア中央新幹線は当初は2027年の開業を目標とされていましたが、ついにそれに間に合わないことが確定してしまったのでした。
新幹線の真上に作られた、富士山静岡空港
東海道新幹線の運営主体であるJR東海と、静岡県の長年の確執は鉄道ファンのみならず、もはや世間一般的に知られています。
例えば、大井川の近くには、「富士山静岡空港」という空港があります。
これは、首都圏や名古屋・大阪圏などの大都市と、静岡県の活性化を図る目的で作った空港と思われます。
そのため、この空港は東海道新幹線の線路の真上に作られています(つまり、空港の地下を新幹線が通っていることになります)。
そして静岡県は、空港と直結する新幹線の駅を作るようにJR東海に要望しましたが、あっけなく却下されます。静岡駅と掛川駅の中間に位置するため、駅間距離が短すぎて新幹線が充分に加速できないからですね。
しかし、この事も静岡県とJR東海の確執をさらに増大させる要因にもなりました。
なぜ静岡県知事は、リニア建設工事に反対してきたのか
静岡県は、リニア工事に対して反対の姿勢を取り続けています。
「大井川の水は一滴も譲らない」
静岡県の川勝前知事が、ことにリニア建設に反対していたことは、昨今のニュースでご存じの方も多いと思います。
「大井川の水は一滴も譲らない」として、大井川流域の農業を守るために、大井川の開発は許さないということです。
大量に組み上げた地下水の処理
リニアのトンネルを掘るには、大量の湧き水が出ます。それは地下には大量の湧き水が眠っているからです。
そのため、列車を走らせるには湧き水を常に吸い出さないといけないのですが、そうすると大井川に水が流れなくなり、流域が水不足に陥ります。
これに対してJR東海は、「吸い出した水はすべて大井川に戻すから問題ない」と説明しています。
しかし静岡県は、それにも関わらず、未だに工事の許可を出していないのです。
「もういい加減リニア工事を進めさせろ」という声は、年々強くなる傾向にあります。
リニア建設に、静岡県がここまで反対する理由は?
しかし、静岡県がリニアにここまで反対する理由は、様々な経済的事情を考えると、確かにわからなくもないです。
リニアが開通すると、東京~名古屋間の長距離輸送の役割が「のぞみ」からリニアに移るため、多くの「のぞみ」は廃止または減便になるでしょう。
現段階でさえ、東海道新幹線の「のぞみ」の本数は多すぎて限界点であり、ひっ迫状態にあるからです。JR東海としては少しでもこれを緩和し、リニアにもっていきたいでしょう。
新しい交通手段が出来ると、既存の交通手段や取り残された町は衰退する
しかしそうなると、静岡県からすらば「のぞみ」が静岡駅または浜松駅に止まる、という夢は完全に泡となってしまいます。
すると、静岡県は中央新幹線沿線の活況から取り残され、その役割と活況が中央新幹線の止まる山梨県など内陸側に移ることも考えられます。
そうなると、静岡県の経済にも影響が出てくるため、地元の人々にとっても死活問題となります。
よって、静岡県の「観光」や「Uターン」「移住促進」などによるPRは、今後ますます重要になるかもしれません。
静岡県にはたくさんの観光的魅力がある!いざ静岡県の旅へ
静岡県は富士山だけでなく、「浜名湖」「中田島砂丘」「駿府城」「さわやか」「浅間神社」「沼津」「熱海」「伊豆」など、観光資源の宝庫です。
「のぞみ」が停車しないとはいえ、「ひかり」はそれなりに停車する上、「こだま」も1時間に2本止まり、新幹線の料金としては全国の他地域と比較して低料金となっています。
あなたも静岡県の魅力をたくさん探しにいきましょう。
私にとって静岡県は第二の故郷です!
※上記に列挙した観光地は、私の主観と偏見が混じってます。他にも静岡県の観光名所はたくさんあります!
今回メインで解説した大井川についてさらに詳しくは、以下の記事でも解説していますので、ご覧ください。

次は大井川を渡り、菊川・掛川方面へ進んでいきます!
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